「ステーキのあさくま」といえば、サラダバー45品目とボリューム感のあるステーキで、長年ファミリー層を中心に支持されてきた愛知発のローカルチェーンだ。そのあさくまが2026年2月、大阪・西梅田に大阪市内初となる新店舗をオープンする。
今回の出店で注目すべきなのは、単なるエリア拡大ではなく、平日ランチに照準を合わせた“新モデル店舗”である点だ。西梅田というビジネス街の特性を踏まえ、「早く出て、しっかり満足できる」ランチ体験を目指し、メニューや提供オペレーションを大きく進化させている。
本記事では、話題の西梅田ハービスプラザ店を軸に、
・あさくまの平日ランチは何がどう進化したのか
・ビジネスランチとして使えるのか
・従来店舗と何が違うのか
といった点を、ランチ利用目線で整理していく。
あさくまが大阪・西梅田で仕掛ける「平日ランチ特化」という新挑戦
老舗ステーキレストラン「あさくま」が、大阪・西梅田で新たな一手を打った。創業77年、愛知発の同社にとって大阪市内初出店となる西梅田店は、単なるエリア拡大ではない。都市型立地に最適化した〈ビジネスランチ特化型〉という、これまでのあさくまとは明確に異なる店舗モデルを掲げている。
注目すべきは、平日ランチ需要に真正面から向き合った「クイック提供」メニューを、西梅田店限定で展開している点だ。時間制約の厳しいビジネスパーソンを主なターゲットとし、「早さ」と「あさくま品質」の両立を実現しようとしている。
都市立地に適応した“進化型あさくま”
西梅田店が入るのは、オフィスワーカーの往来が集中するハービスプラザ。ランチ需要は11時から15時に集中し、とりわけ12時〜13時の1時間が勝負どころとなる。この時間帯では、味や価格だけでなく「提供時間」が来店可否を左右する。
従来のあさくまでは、注文から提供まで10〜15分を要するケースも多く、都市型ランチ市場では機会損失が生じやすかった。そこで西梅田店では、ビジネス客の行動様式を前提に、店舗設計・メニュー構成・オペレーションを再設計。結果として誕生したのが、「平日ランチ専用」のクイック提供モデルである。
これは“あさくまを簡略化した店”ではない。むしろ、あさくまの強みである肉の品質や満足感を、限られた時間内で最大化するための再構築といえる。
「クイック提供」ランチが狙う未回収需要
「美味しいステーキを食べたいが、会議までの時間が限られている」
「並ぶと分かった瞬間に、別の店を選んでしまう」
こうした声は、都心ランチでは珍しくない。西梅田店のクイック提供ランチは、まさにこの“取りこぼされてきた需要”を狙い撃ちしている。
平日ランチ利用の9割以上を占めるビジネス客を想定し、メニュー数を絞り、提供工程を標準化。ファストフードでは物足りないが、フルサービスの高級店に入る余裕はない――そんな層にとって、「ちょうどいい贅沢」を実現するポジションを確立しつつある。
ステーキを引き立てる西梅田店限定ワイン戦略
一方で、西梅田店は“スピード特化”に振り切ってはいない。ディナー帯や会食需要を見据え、ステーキに合わせた厳選ワインリスト(全19種)を独自に展開している点も特徴的だ。
スパークリング3種、白7種、赤9種という構成は、単なる数合わせではない。肉の脂やソースの個性に寄り添うペアリングを意識しつつ、価格帯は驚くほど抑えられている。ランチでの初来店を、夜利用へとつなげる導線設計としても読み取れる。
業績好調を支える“攻めの姿勢”
あさくまの動きが注目される背景には、足元の業績がある。コロナ禍ではサラダバーが敬遠され、売上は大きく落ち込んだ。しかし同社はコスト削減ではなく、「費用をかけてでも顧客満足を高める」戦略を選択。サラダバー拡充、フェアメニューの積極展開、従業員教育に投資してきた。
その結果、客数・売上は回復し、2025年12月末時点で37カ月連続の前年超えを達成。西梅田店の新モデルも、この“攻め続ける企業文化”の延長線上にある。
ランチ利用者にも関係する株主優待の魅力
1月末の権利確定では、100株以上の保有で4,000円分の食事券が全株主に付与される。2026年1月27日時点の株価ベースでは、必要投資額は約48万8,000円となる。加えて7月末には抽選制ながら、最大5万円分の食事券をはじめ、あさくまのおせちや1ポンドシェアステーキ食事券など、外食系優待としては還元水準の高いラインナップが用意されている。
西梅田店のように、平日ランチで日常的に使いやすい店舗が増えるほど、これらの株主優待は「特別なご褒美」から「実用的な生活メリット」へと性格を変えていく。ランチで無理なく消化できる食事券は、投資と日常消費が自然につながる点で、あさくま株の分かりやすい魅力の一つと言えるだろう。
※本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘を目的とするものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。また、各企業の状況は変動するため、最新の開示情報をご確認ください。
まとめ
西梅田店は、あさくまにとって単なる新店舗ではない。
・都市型立地への本格対応
・平日ランチ需要に特化したオペレーション革新
・ブランド価値を維持したままのスピード化
これらを同時に成立させた実験場でもある。
「ランチで選ばれる店」を本気で作りにいく老舗ステーキチェーン。その挑戦は、食べる側だけでなく、企業分析や投資の視点から見ても興味深い事例だ。

